2019.12.15
【読書】原発をつくった私が、原発に反対する理由
元GE技術者 菊地洋一 著
「原発をつくった私が、原発に反対する理由」
(角川書店)
もしも、この本の著者をご存知の方がいれば
是非、紹介してください。
これからやってくる原発大廃炉時代。
日本に54基ある原発の廃炉作業を、一体誰が担うんだろう。
団塊の世代の技術者の大量離職。
2025年には建設技術者は本来必要とされる人数より11万人不足すると言われている。
増え続ける空き家、避けて通れないインフラの維持、老朽化していくマンションの修繕。
そして同様に原発も原則40年という耐用年数を迎え大廃炉時代が始まる。
建設作業員は少しづつ増えてきてはいるようだが、外国人技能実習生に頼っている状況で
高い品質と安全な作業が確保できるだろうか。
そして技術者の不足。
どんな絶望の状況にいてもやれる事をやっていれば発狂せずにいられる。
だから俺は自分が狂わないように最善を尽くす。
自分のために脱原発活動を頑張る。
将来を憂い抱く不安を解消するために自分が納得できる行動をする。
本書の著者は1973年から1980年にかけて
福島第一原発と東海第二原発で、原子炉のメーカーであるGE社(ゼネラルエレクトリック社)で
建設現場の「企画工程管理」という全体の設計と施工の調整と管理をしていた技術者だ。
本書の前半では、実際に携わっていた建設現場で起きていた施工ミスや、
度重なる設計変更による不具合、そもそもの構造的な欠陥について触れている。
そして忘れてはならない事は、人間のする事には必ずミスや過ち、エラーが付きものだという事。
ヒューマンエラー。それは、減らす事は出来てもゼロにする事は出来ない。
建設現場とはそういうものだ。限られた予算と納期、人員で可能な範囲で最善を尽くす。
それはベストな選択だがパーフェクトでは無い。
それは当たり前の事だが、当たり前の事を経験者が言うことには説得力がある。
本書は貴重な経験談だ。こんな本をもっと読みたい。原発に関わる建築技術者の本があれば是非教えて欲しい。
原発に関わる仕事は、正直怖い。放射線や放射性物質で被曝する事は怖い。
でも、いつか子どもが出来て巣立った後なら、廃炉の仕事にも関わりたいと思っている。
誰かが「現在35歳でそれでは遅い」と言うかもしれない。もしもそう言われても勝手に言えと思う。
ヒーローになりたいわけではない。ただ自分の納得できる生き方をしたいだけだ。
自分の幸せの追求の中に「将来的な地球上の被曝リスクを減らす」という事が
高い優先順位でランクインしているだけだ。
それに、繋がる仕事のオファーがいつかかっても良いように準備だけは怠らない自分でありたい。
二級建築士に合格し少しづつステップアップしてはいるが、まだまだヒヨッコだと言う自覚はある。
端から、ど素人から始まったゲリラ戦だ。今さら恥も外聞もない。
地道に本を読み、腕磨く。
未来は俺らの手の中。
内閣官房長官にそう言った以上、俺にもアカウンタビリティがある。
次は日本原子力事業(株)に勤めていた小倉志郎さんの著した
「元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ」(彩流社 2014)を読む。
繰り返しますが、菊地洋一さんをご存知の方がいれば是非、紹介してください。
よろしくお願いします。
既に存在する放射性廃棄物をどうすべきと考えているか、お話を伺いたいです。
#廃炉への道